チェーン・プライド

       ∽ 鎖の誇り ∽





真の誇りは

自己の奥深くから
湧き出るものだけれど

この世にはびこる
誇りの多くは

人為的に作られたもの


人は 相対的に「偉い」
と思わせて自尊心を
くすぐれば
容易に操縦することができる

そのために しばしば 
誇りは "作られる"


とりわけ
この国においては 「普通」

あるいは
正統の証である 「社会人」

多くの日本人は
普通や正統であることを
誇りにしている


社会から
疎外を感じて

「普通になりたい」
という人は多い

特にこの国には
とても多い


しかし

「普通」はしばしば
理想とされるけれど

それは
誰にとっての
理想だろうか

果たして民にとっての
理想と言えるだろうか


ところで
「普通」の特徴とは
どんなものか

明るい
健康的
協調性がある
我慢強い
勤勉
早寝早起き
異性や恋に夢中

ざっとこんなもの
だろうけど

これは明らかに
「理想的な"歯車"」の特徴


特に「明るくさせる」ことは
とても重要

ポジティブに染まって
前だけを見るものは

誘導や罠に気づきにくく
容易に操縦できる


対して

疑い 立ち止まり
思考する歯車など

王にとっては不良品

いやそれどころか
危険因子


規律正しく
よく動く歯車

独立して
あまり動かぬ歯車

王にとって
どちらが理想的かなど
言うまでもない


そう だから

いわゆる「普通」とは

民にとっての
理想ではない


国 貴族 統治者

彼らにとっての
理想なのだ



「各社会層は、外見では、同じ言葉を用いているかのように思われるが、その実、同じ言語を話しているのではないのだ」 
ー『群衆心理』